第12回プラチナ大賞における大賞・総務大臣賞 受賞
写真は右から、玉田 康人氏/総務省大臣官房官房総括審議官, 小原 冨治雄氏/フランウッド社会, 高橋 ひかり氏/フランウッド社社長, 沼 泰弘氏/つやま産業支援センター次長(兼)みらい産業課長, 武内 和彦氏/公益財団法人地球環境戦略研究機関 理事長(プラチナ大賞 審査委員長), 小宮山 宏氏/三菱総合研究所理事長 第28代東京大学総長(一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 会長)
フランウッドは、一般社団法人プラチナ構想ネットワークが主催する「第12回プラチナ大賞」において、フランウッドが津山市と共同で取り組む「森林基幹道(インフラ投資)とフランウッド(木材高付加価値化技術)によるProfitable &Sustainableな森林業」において「プラチナ大賞」「総務大臣賞」を津山市と共同で受賞しました。この表彰式は、2024年11月6日(水)に行われました。
本取り組みは、持続的な収益と生物多様性の再生・保全を可能にする新しい森林経営モデルで、フランウッドと津山市が共同で計画するものです。高付加価値商材であるフランウッドという技術の先進性と、補助金依存である林業から脱し高収益を生み出すことのできるビジネスモデルの革新性が高く評価されました。
森林大国である日本
⽇本は森林⼤国で、国⼟の7割は森林で、今の⽇本は、⽇本が始まって以来、最⼤の森林率を誇ります。戦後、国策として⼤量に植えられたスギ・ヒノキが成⻑し、伐採する時期に到達しているからです。過去50年で、その蓄積量は、約6倍に増加しました。
日本の林業の課題 「儲からない」「生物多様性の破壊」
しかし、日本のこの豊かな資源は、現在、安価取引と放置という課題を抱えています。
1960年代の貿易自由化により、量・質・価格ともに、安定供給できる外国材に席巻され、国産材がその需要を失ったことが、大きな理由にあります。加えて、商社などの商流も複雑化したことも相まって、国産材は、安価で取引されるようになりました。その対策として、現在では、コストカットした国産材の⽣産を⾏うために、皆伐、⼭の⼀部を全て伐採する⼿法が、政策として用いられています。ところが、皆伐された土地の6割以上で、再造林が放棄されています。⽣物多様性が失われ、貴重なCO2吸収源が放置されているのです。再造林と山の維持にかかる経費が、膨⼤で、素材生産で儲かる費用よりも遥かにコストがかかるからです。
今の日本の林業は、伐採(素材生産)も造林も森林整備も全てが補助金頼りになっています。
本取り組みのソリューション・価値
そこで、フランウッドと津山市は共同で、補助⾦を脱却し、持続的に儲かり、生物多様性を再生する、⽇本初の森林業に取り組みます。①. 国産スギ・ヒノキの高単価取引を可能にするフランウッド技術、②. 丸太の伐採運搬コストを最⼩化する、森林基幹道というインフラ整備、③.植林、獣害対策、下草刈りなど森林整備のコスト不要で、森に⽣物多様性を取り戻す、将来⽊選別間伐林業を掛け合わせることで、高収益で持続的な森林業を実現します。
フランウッドは、津山市と連携協定を結び、津⼭市から、市有林の森林経営委託を受け、市の職員とフランウッドチーム共同で、森林経営計画を進めています。
【「フランウッド」について】
100%植物由来の化学処理で、国産のスギ・ヒノキの腐りやすく狂いやすい弱点を克服し、枯渇性資源である高級南洋材と同等の高耐久な機能性・審美性に改質する化学修飾の処理技術です。京都府立大学との共同開発よる特許技術で、2022年よりパイロット生産・販売を開始しました。オーセンティックな自然な美しさと、圧倒的な耐候性、耐腐朽性、寸法安定性を誇る機能性が評価され、ホテルや別荘、集合住宅、大学、公共施設などに起用され、高単価取引を実現しています。
ウッドデッキや外装材などWOOD SURFACE MATERIALとして、日本木材史上、初めて世界の高耐久建材市場への展開を目論んでいます。
【Profitable & Sustainableな森林業について】
♦︎ 森林基幹道の技術:
森林業の中⼼となる森林基幹道は、林業先進国であるドイツの屋根型森林基幹道をモデルとしています。
従来の日本の森林作業道は、短期施業⽤につくられ、短期で壊れるものも多いことが課題でした。本取り組みで敷設する森林基幹道は、集中豪⾬でも⽔を散らすことができ、崩れない、何⼗年の耐⽤年数を誇るものです。この道を敷くという初期のインフラ投資により、丸太の伐採運搬コストを最⼩化することができます。同時に、林業や森林整備の作業者のみならず、さまざまな産業や一般市民の通行が可能になり、森林空間活用を含めた地域活性の可能性を拡げることができます。
♦︎ 将来⽊選別間伐林業:
将来⽊選別間伐林業とは、将来成⻑させる⽊を残し、まばらに間伐する手法です。
間伐択伐により、丸太の素材⽣産を⾏いながら、同時にまばらに伐採し、まばらに太陽の光を当てることで多様な植⽣を戻します。つまり、⼀つの⼿法で、丸太の素材⽣産と⽣物多様性の再⽣という⼆つのことを同時に⾏うことができます。⾮皆伐更新のため、植林、獣害対策、下草刈りなど森林整備のコストも最小限に抑えることができます。
【「プラチナ大賞」について】
プラチナ構想ネットワークは、「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会」を「プラチナ社会」と定義し、その実現を目指しています。「プラチナ大賞」は、イノベーションによる新産業の創出やアイデアあふれる方策などにより、社会や地域の課題を解決し、「プラチナ社会」の姿を体現している/体現しようとしている全国の自治体や企業などを称えるものです。
【審査委員】
委 員 長
武内 和彦
公益財団法人地球環境戦略研究機関 理事長
副委員長
秋山 弘子
東京大学 名誉教授 東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授
委 員
石戸奈々子
一般社団法人超教育協会 理事長 慶應義塾大学 教授
岸本 一朗
株式会社 エフシージー総合研究所 代表取締役社長
小林 伸年
株式会社時事通信社 解説委員、日本記者クラブ企画委員
西條 都夫
株式会社日本経済新聞社 上級論説委員兼編集委員
田中 里沙
事業構想大学院大学 学長
西村 幸夫
國學院大學観光まちづくり学部・学部長
増田 寛也
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長
山田メユミ
株式会社アイスタイル 取締役 一般社団法人バンクフォースマイルズ 代表理事
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